結論:『暗幕のゲルニカ』は、パブロ・ピカソが描いた反戦の名画「ゲルニカ」をめぐり、絵が描かれた1930年代のパリと、同時多発テロ後の2000年代のニューヨークという二つの時代を行き来しながら描かれるアートサスペンスです。国連本部に飾られた「ゲルニカ」のタペストリーに暗幕がかけられた、という実際の出来事をきっかけに生まれた物語で、アートが持つ力を問いかけます。
- こんな人におすすめ:ピカソや現代美術に興味がある人/歴史と現代が交差する物語が好きな人/『楽園のカンヴァス』を読んだ人
- 読みやすさ:二つの時代が交互に描かれ、テンポよく読める
※この記事では、結末や犯人には触れずに紹介します。
『暗幕のゲルニカ』の基本情報
- 著者:原田マハ(1962年生まれ)
- 出版社:新潮社(単行本 2016年3月)/新潮文庫
- 評価:2017年本屋大賞ノミネート
主な登場人物
- 八神瑤子:ニューヨーク近代美術館(MoMA)のキュレーター。9.11で夫を亡くす
- パブロ・ピカソ:「ゲルニカ」を描いた画家
- ドラ・マール:ピカソの恋人で写真家。「ゲルニカ」の制作過程を記録した
あらすじ(ネタバレなし)
2001年9月11日、ニューヨークで同時多発テロが起こり、MoMAのキュレーター・八神瑤子は最愛の夫を失います。その後、アメリカがイラクへの攻撃に踏み切ろうとする中、国連本部に飾られていた「ゲルニカ」のタペストリーに、暗幕がかけられるという出来事が起こります。瑤子は、ピカソの反戦のメッセージを世界に伝えるため、ある展覧会を企画します。
一方、1937年のパリ。スペイン内戦のさなか、ドイツ軍によって故郷スペインの町ゲルニカが空爆されたことを知ったピカソは、怒りと悲しみを込めて、一枚の巨大な絵を描き始めます。その姿を、恋人で写真家のドラ・マールがカメラに収めていました。
読みどころ(ネタバレなし)
1. 二つの時代が交差する構成
1930年代のパリと、2000年代のニューヨーク。戦争によって大切なものを失った人々の物語が交互に描かれ、時代を超えて「ゲルニカ」がつないでいきます。
2. ピカソの創作の現場
「ゲルニカ」が描かれていく過程が、ドラ・マールの目を通して描かれます。天才画家が、怒りと悲しみを一枚の絵に込めていく姿は圧巻です。
3. アートは世界を変えられるのか
テロや戦争の時代に、一枚の絵に何ができるのか。アートが持つ力を信じる人々の物語は、現代の私たちにも強く問いかけてきます。
楽しみ方
「ゲルニカ」の実物は、スペイン・マドリードのソフィア王妃芸術センターに所蔵されています。絵の画像を見ながら読むと、ピカソが込めた思いがより深く伝わってきます。
読者の評判・口コミの傾向
『暗幕のゲルニカ』は、ピカソの名画「ゲルニカ」をめぐり、制作当時のパリと9.11後のニューヨークを交互に描いた作品です。作品に込められた反戦のメッセージに心を動かされたという感想が多く見られます。
よく見られる高評価の声
- 「ゲルニカ」に込められた反戦の思いが胸に迫ったという声が多い
- 二つの時代の物語が交互に進み、最後に重なっていく構成が見事だという感想が目立つ
気になる点として挙がる声
- 現代パートの展開がやや強引だと感じた人もいる
- 『楽園のカンヴァス』と比べると物足りないという声がある
※読書メーター・Amazonなどに寄せられた読者レビューの傾向を、当サイトで要約したものです(2026年10月時点)。
『暗幕のゲルニカ』を読んだ人におすすめの原田マハ作品
- 『楽園のカンヴァス』(2012年):ルソーの名画の真贋をめぐるアートミステリー。山本周五郎賞
- 『たゆたえども沈まず』(2017年):ゴッホと弟テオ、パリで出会った日本人画商の物語
- 『リボルバー』(2021年):ゴッホの死に使われたとされる拳銃をめぐるアートミステリー
- 『ジヴェルニーの食卓』(2013年):モネ、マティス、ドガ、セザンヌ。印象派の巨匠たちの素顔
- 『美しき愚かものたちのタブロー』(2019年):国立西洋美術館の礎となった松方コレクションの物語
- 『本日は、お日柄もよく』(2010年):スピーチの力で人の心を動かす、言葉のお仕事小説
- 『総理の夫』(2013年):日本初の女性総理と、それを支える鳥類学者の夫の日記
- 『キネマの神様』(2008年):映画を愛するギャンブル好きの父と娘の再生の物語
- 『生きるぼくら』(2012年):引きこもりの青年が、祖母の田んぼで米作りに挑む
- 『カフーを待ちわびて』(2006年):沖縄の島を舞台にしたデビュー作