女優の中村ゆりさんが2026年9月1日、直腸がんのため死去していたことが、9月14日に所属事務所アルファエージェンシーより発表されました。44歳でした。
『パッチギ! LOVE&PEACE』のヒロイン役や、連続テレビ小説『わろてんか』『エール』、『鬼平犯科帳』シリーズのおまさ役など、映画・ドラマ・舞台と幅広いジャンルで活躍してきた中村さん。突然の訃報に、多くのファンや共演者から驚きと悲しみの声が寄せられています。
本記事では、中村ゆりさんのプロフィールとこれまでの歩み、闘病の経緯、そして本人の言葉をあらためて振り返ります。
プロフィール
- 氏名:中村 ゆり(なかむら ゆり)
- 生年月日:1982年3月15日
- 没年月日:2026年9月1日(44歳没)
- 出身地:大阪府寝屋川市
- 国籍:大韓民国
- 身長:164cm
- 職業:女優、元歌手
- 活動期間:1998年 - 2026年
- 所属事務所:アルファエージェンシー(最終所属)
大阪府寝屋川市出身。父親が在日3世、母親が韓国生まれで、本人は韓国籍。映画『パッチギ! LOVE&PEACE』公開翌日の『朝日新聞』紙上で自身が在日であることを公表し、「出身を隠すつもりはないけど、わざわざ『在日です』と主張することもない」と語っている。
歌手から女優へ
1996年、テレビ東京『ASAYAN』の歌手オーディションに合格し、友人の伊澤真理とデュオ「YURIMARI」を結成。1998年に歌手デビューし、シングル6枚とアルバム1枚を発表したが、1999年にYURIMARIは解散した。
約3年の活動休止期間を経て、2003年、映画プロデューサーの勧めでオーディションを受けたことをきっかけに女優として活動を再開。映画、ドラマ、音楽PVなどに出演するようになる。
2007年、映画『パッチギ! LOVE&PEACE』でヒロイン・李慶子役に抜擢され、同作の演技で2007年度全国映連賞女優賞、第3回おおさかシネマフェスティバル新人賞を受賞。以降、映画・ドラマ双方で活躍の幅を広げた。
2020年放送の『今夜はコの字で』(BSテレ東)では浅香航大とダブル主演を務め、37歳にして民放連続ドラマ初主演を果たしている。
代表的な出演作品
映画
- 『パッチギ! LOVE&PEACE』(2007年)- 李慶子 役
- 『さくらん』(2007年)
- 『そして父になる』(2013年)
- 『Fukushima 50』(2020年)
- 『市子』(2023年)
- 『鬼平犯科帳 血闘』(2024年)- おまさ 役
- 『平場の月』(2025年)※最後の映画出演
テレビドラマ
- NHK連続テレビ小説『おひさま』『梅ちゃん先生』『花子とアン』『わろてんか』『エール』
- 『相棒 season 16』(2017年)
- 『パーフェクトワールド』(2019年)
- 『未満警察 ミッドナイトランナー』(2020年)
- 『SUPER RICH』(2021年)
- 『鬼平犯科帳』シリーズ(2024年 - 2026年)- おまさ 役
- 『終幕のロンド -もう二度と、会えないあなたに-』(2025年)- 御厨真琴 役
- 『鬼平犯科帳 兇剣』(2026年1月)※最後のテレビドラマ出演
配信ドラマ
- 『さよならのつづき』(Netflix、2024年)
- 『匿名の恋人たち』(Netflix、2025年)
闘病と死去の経緯
事務所の発表によると、中村さんは2013年にがんを患ったが、本人と事務所社長の意向で病名を伏せて治療にあたり、寛解後は俳優活動を継続していた。
しかし2025年に入りがんが再発。手術は成功したものの術後に転移が見つかり、この時点で根治や寛解を目指すことは難しい状況となった。それでも治療と並行しながら活動復帰を模索していたという。
2026年7月13日、出演予定だったNHKドラマ10『デンジャラス』(2027年1月期、代役は菊地凛子)を腸閉塞のため降板。この時点ですでに余命わずかであると告知されていたとされる。
そして同年9月1日、直腸がんのため死去。44歳没。訃報は9月14日、所属事務所より公表された。
事務所は発表の中で、「彼女は落ち着き、美しく優しさにあふれた笑顔を絶やさず、ご家族や近しい方々と共に最後の時を大切に過ごすことができました」とコメント。葬儀は近親者と社内スタッフのみで済ませたことを報告するとともに、ご遺族への取材や自宅周辺での撮影は控えるよう呼びかけている。
中村ゆりさんの言葉
生前のインタビューでは、俳優としての仕事観や人との繋がりについて、たびたび語っている。
『鬼平犯科帳 血闘』でおまさ役を演じた際には、役作りへの向き合い方についてこう語っていた。
「おまささんは、これまで野際陽子さんなど素晴らしい俳優さんたちが演じられてきた役柄です。その中でも、私が一から自分の解釈でおまささんを組み立てることが大事だと考えました」
「準備が足りていなかったなと思うことはありますが、できる限りのことをして仕事に臨もうと心がけています」
また、ドラマ『終幕のロンド』(草彅剛主演)でのインタビューでは、これまでの俳優人生を振り返りながら、人との縁を大切にしてきたことを明かしている。
「私は、我が道を行く一匹狼タイプではないから、助けてもらわないと何もできないし……。お仕事をする上ではまわりのスタッフさんや事務所の方に、私生活では友達にものすごく助けてもらっています」
「今は、いろいろなことが削ぎ落とされて、気持ち的にゆったりしていると思います。なんていうか、“省エネ”ができるようになりました」
20代の頃は仕事に追われる日々を送っていたと振り返りつつも、井筒和幸監督や是枝裕和監督をはじめ多くの人との出会いに支えられてキャリアを重ねてきたと語っていた。
おわりに
歌手から女優へ転身し、映画・ドラマ・舞台と幅広いジャンルで28年にわたり活躍してきた中村ゆりさん。近年は『鬼平犯科帳』のおまさ役や『終幕のロンド』など話題作への出演が続いていただけに、あまりにも早い訃報に驚きと惜しむ声が広がっています。
謹んでご冥福をお祈りいたします。
参考・出典